
幼い頃、夏は毎日、実家の近くの川で泳いだり、河原で遊んだりしたが、それもお盆まで。ご先祖様の霊が戻って来るので連れて行かれないように川から遠ざかり、お盆が過ぎると、急に川の水が冷たく感じられるようになって、川遊びの夏は終わった。
そんな体感的な季節の移ろいは、今は通用しない。東京では立秋(8月7日)から1週間ほど“比較的”過ごしやすい日が続いたが、お盆以降は暑さがぶり返した。18日から27日まで史上最長の10日間、最高気温が35度を超える猛暑日が続き、8月末からさらに強い猛暑に見舞われている。
暦の上では立秋から朝夕に秋の気配が感じられるようになり、暑さが収まるという処暑(23日)も過ぎたが、このありさまだ。紀元前から重宝されてきた人間の知恵も、近ごろの猛暑には形無しだ。地球温暖化の影響が大きいという。人間社会が排出する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが大気に混ざり、地表面から放射された赤外線を吸収して地球を温めているのだとか。
幼い頃と比べ、あらゆる面で社会が変わった。特に目立つのはエアコンの普及だ。当時、実家周辺にエアコンのある家はなかったが、今はどの家にもある。日射を避けて壁沿いに寄ったら、エアコンの熱い排気を浴びせ掛けられることも少なくない。
エアコンは文明の利器だが、夏冬に家庭の電力消費の3分の1を占めてCO2排出量を増やし、多くが有害の温室効果ガスを冷媒に使っている。何よりも人間が涼を取る代わりに大量の熱気を大気中に放出する。これはヒートアイランド現象の一因と言われたが、地球温暖化とは関係がないとされてきた。大気の膨大さ故なのだろうが、今や都市部だけでなく世界全体の気温上昇が顕著だ。
便利を求める人間と自然の共生は本当に難しい。エアコンの利いた部屋で、つくづくそう感じている。






