トップコラム映画『雪風』に見る「決断」【上昇気流】

映画『雪風』に見る「決断」【上昇気流】

駆逐艦「雪風」艦長寺澤一利を演じた竹野内豊ⓒYukikaze Partners

太平洋戦争で数々の激戦を生き抜いた駆逐艦を描く映画『雪風』(山田敏久監督)を観た。戦後80年の節目に当たって改めて戦争という非常時における責任者の、さまざまな「決断」に思いをはせた。

敗色濃厚となった沖縄特攻での最高指揮官である第2艦隊司令長官・伊藤整一中将が作戦を受諾する決断。レイテ沖海戦で「謎の反転」と言われた第1遊撃部隊司令長官の栗田健男中将の決断もそうだ。

そして「雪風」。駆逐艦といえば、空母や戦艦を柱とする機動部隊を先陣を切って護衛に当たる。映画では再三、その小型ゆえに小回りが利く機動性を生かして沈没艦船の乗員救助を担う場面がクローズアップされる。

上級司令部の「直ちに救助を停止して戦闘任務に戻るように」との指示に対し、艦長は「今、われわれの役目は一人でも多くの命を救うことです。『雪風』はずっとそうしてきました」と救助を続行する。これも重要な映画での決断シーンだ。

「雪風」だけではない。レイテ沖海戦では別の部隊だが、戦艦「伊勢」もほぼ壊滅した同僚艦の兵士を救助した。駆逐艦と違い4万トンを超える巨艦であり、いったん停止したら敵機の格好の餌食となる。

しかし、中瀬泝(のぼる)艦長は救助を決断する。副長は思わず「艦長は気が狂った」といさめる。確かに軍事常識的には正論だった。それを押しての決断で救助者は98人に上り、中には手が使えず綱を口にくわえて必死に上がってきた兵士もいたという。

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