
この夏も山岳遭難が相次いで起きている。特に多いのは長野県。北アルプス、中央アルプス、八ケ岳、南アルプスと、日本の名峰が集中していて、全国から登山者がやって来る。
今年の夏山期間中は8月24日までに127件の山岳遭難が発生し、昨年の116件を既に超えてしまった。長野県警によると、例えば7月28日から8月3日までの1週間に起きた件数は34件(遭難者36人)という多さ。
この10年間で2番目に多かったという。猛暑日が続き、熱中症、脱水症に起因する転倒や滑落が目立った。先週18日から24日にかけても20件(21人)と多く、転倒や滑落による負傷、疲労や病気による行動不能遭難が多発した。
現代は山岳遭難激増の時代だ。平成元年、602件(794人)だったのが、昨年は2946件(3357人)。これでも前年より若干減ったのであり、その間増加しっ放しなのだ。
この三十数年間は史上最大規模の「登山の大衆化」が起きた。かつては社会人山岳会や大学山岳部など、組織で登山を学ぶのが一般的だったが、その後にやってきたのは「未組織登山者」の時代。
それをツアー会社がサポートした。必要な情報はインターネットで簡単に入手できるようになり、仲間を募ることから計画まで、メールやラインで行うようになる。気象学や登山技術、装備の使い方など、どこで経験者から直接学ぶのか。この学習の空白が現代の遭難形態に表れていると思う。





