トップコラム政治イノベーションを急げ 【政界一喝】

政治イノベーションを急げ 【政界一喝】

7月の参院選で、与党は50議席の必達目標に届かず、自民党は昨年の衆院選、今年6月の東京都議選に続く3連敗を喫した。しかし、石破茂総裁は自ら定めた最低限の目標を達成できず、衆参両院で少数与党になった責任を取ろうとしない。若者投票率47・2%への急上昇(20代、2022年の前回参院選は35・4%)を含めた民意に、効果的な対応策はないのか。

衆院選前の総裁選で石破氏を支持した若手やベテラン議員も、自身の議席維持への危機感から「石破おろし」に思いを募らせる。だが民意と無関係な党内抗争は国民の不信を深め、党の信頼回復を遠ざける恐れがある。

3連敗を受け、両院議員総会(総会長・有村治子参院議員)が開催され、石破氏(総裁任期27年秋)の交代を求める総裁選前倒しを、議員295人と都道府県連47人から氏名公表で募るとされる。半数以上の賛同で実施され、出直しへの第一歩とはなる。

憲法前文が冒頭で定める通り、国政選挙は民意表明の基本だ。投票率を上げた若者をはじめ、参院選で自民党にノーを突き付けた国民の声を石破氏が軽視しているのではないか。ここで、党改革を進め、信頼を取り戻す、政治のイノベーションが急務である。

参院選後、物価高対策やSNS活用の失敗など敗因分析に1カ月以上を要し、総裁選の手続きも遅れる自民党に、国民の不満が高まっている。リベラル化を憂慮する党内保守勢力は、抜本的な改革で具体的な成果をもたらす覚悟が必要である。

アベノミクスや復興支援の実績、毎朝の部会による政策力、官僚連携の積み重ねは、長年にわたる自民党の貴重な資産だ。これらを無にすべきでない。

石破氏の続投支持を示す世論調査(例・NHK8月調査49%、反対40%)が選挙結果と異なり、調査設計に問題があるとの批判が出た。不信感が高まる中、人工知能(AI)の応用が、より公平な政治参加を後押しする活路となる可能性がある。

新党「チームみらい」が参院選で比例126万票、1議席を獲得した。AIエンジニアの安野貴博党首は、台湾政府が16年から推進したvTaiwan(市民の意見を政策に反映するプラットフォーム)を参考に、SNSファクトチェック(誤情報を20%抑制)を参院選で適用し、日本版の市民参加プラットフォームを推進している。

イノベーションに敏感な若者の投票率が47・2%へ急上昇し、全体投票率58・5%とのギャップを11・3ポイントに縮めた。1998~2022年の過去9回(16・3~19・1ポイント)から歴史的に転換したことは注目に値する。

つまり若者から見放されたことが参院選の敗北だと、自民党が正面から向き合っていないことは民主主義の危機である。若者の投票率の急上昇は、彼らの意見を政治に反映させるべきとの強いメッセージだ。税制、外国人対策などで、他党に奪われた票分析も真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

今こそ、オールドメディアだけが世論と錯覚することなく、SNSを含むリアルな世論を知る政治のイノベーションで敗北政権がだらだら続く政治の閉塞(へいそく)感を打破しなければならない。単なる技術的導入ではなく、国民との信頼関係を築く重要なステップである。われわれの未来を共に築くために、今こそ行動を起こす時である。(駿馬)

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