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コーヒー持ち込める図書館

お盆休みを、妻の実家がある中国地方の小規模都市で過ごした。人口はピーク時は5万人を超えていた。20年前に隣接する町と合併したのに、今は3万人を割り込んでいる。街を歩くと、空き家が目立ち、人口減少がすぐ分かる。その分、行政や住民の危機感は高く、市の活性化のためにさまざまな努力を行っている。

例えば、お盆(13日)に行われた夏祭り。これまでクライマックスに打ち上げられてきた花火の代わりに、ドローン300機を使って夜空に絵を描くショーが行われ、近隣の自治体からも大勢の人々を集めた。

筆者が一番嬉(うれ)しかったのは、1年前に新設オープンした複合図書館。木を基調としたオシャレな外観に加えて、内部も木製本棚が並びアンティークな雰囲気を醸し出している。財政は苦しいはずなのに、かなりお金がかかったはずだ。

図書館機能が中心の施設だから、蔵書の充実に力を入れるのはもちろんのことだが、子育て支援や災害対応のほか、会議室、カフェなど市民の居場所としての役割も担う。そんな中で、筆者が特に気に入ったことがあった。パソコンを持ち込んで作業できる学習室にふた付きならドリンクを持ち込むことができることだ。落ち着いた静かな空間で、カフェで購入したコーヒーを飲みながら新聞や本を読み、また原稿書きするのは至福の時である。

一方で、「ああ、地方の図書館だな」と残念に思ったこともある。総合月刊誌が歴史のある「文藝春秋」だけしか置いていないのだ。論壇への関心は全国的に薄れているから、人口減少で限られた予算ではやむを得ないのかもしれない。この複合図書館が移住者促進に役立つかどうかは分からないが、コーヒーを飲みながら読書や仕事ができるのだから、筆者の居場所としては十分である。

(森)

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