トップコラム【上昇気流】神武即位は紀元前660年

【上昇気流】神武即位は紀元前660年

神武天皇陵

神武天皇の即位は紀元前660年とされる。この660という数字の出どころを歴史学者の本郷和人氏が月刊「正論」8月号で解説している。

干支(えと)の組み合わせは60通りあり、60年周期を1元とした。中国から伝わった「讖緯説(しんいせつ)」によると干支が辛酉(かのととり)の年に変革が起きるとされ、明治期の歴史学者、那珂通世(なかみちよ)はその年を推古天皇の9年、西暦601年であるとみた。

聖徳太子が摂政になり冠位十二階や十七条憲法が定められたのはこのころだ。さらに1元の21倍を1蔀(ぼう)とし、1蔀(21元=21×60年=1260年)ごとの辛酉の年にはより大きな国家的変革が起きる。

つまり601年の1260年前(紀元前660年)は日本国が生まれた大変革の年で、神武天皇即位の年に当たるとされた。なるほど、と思う。

推古朝から約100年後、神代から推古天皇までの『古事記』(712年)や、『日本書紀』(720年)などの歴史書が編纂(へんさん)され、「国のかたち」の形成に国土創生譚が絡められた。科学者・寺田寅彦著「神話と地球物理学」の中の「第一にこの国が島国であることが神代史の第一ページにおいてすでにきわめて明瞭に表現されている」とはこのことだろう。

時間には地球の太陽周回を基準とする反復的時間のほかに、共同体の形成に必要な歴史的時間がある。寺田は「わが国民の民族魂といったようなものの由来を研究する資料として(中略)記紀の神話が重要な地位を占める」としている。

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