
日本サッカー界のレジェンド、釜本邦茂さんが亡くなった。日本代表の国際Aマッチ試合での75得点はいまだ破られていない金字塔だ。まさに日本が世界に誇る不世出のストライカーだった。
釜本さんといえば、やはり1968年メキシコ五輪3位決定戦(対メキシコ戦)のゴールだろう。中盤左からのクロスに胸でトラップして左足一閃(いっせん)のゴール。次いで同じく左サイド奥から横パスを足元に収めてミドルシュートを決めた。
いずれも左ウイングの杉山隆一さんのアシストによるものだ。この2人は日本代表の攻撃における「二枚看板」だった。同大会では通算7ゴールを挙げ、得点王に輝き、日本は史上初の銅メダルを獲得している。
その釜本さんの引退の引き金となったエピソードが振るっている。会社で机に足がぶつかってしまった。動かない机に当たるようでは動く相手に対応できない――との判断だった。そのこだわりはさすがに尋常ではない。
引退試合には、親交のあった、あの“サッカーの神様”ペレ氏が駆け付けた。その後は、少年チームの指導をはじめ日本サッカー協会副会長として尽力するなど、サッカー興隆に大きなアシスト役を演じた。
Jリーグ発足以来、日本サッカーの躍進は目覚ましい。今やランキングでアジア最強にまで成長した。そして世界の勢力図は常に変動し、サッカー戦術も時代とともに発展する。しかし、ゴールに果敢に挑む釜本イズムは変わらない。





