
先月、ハノイ市のタインオアイ地区で大型トラックが横転した際、荷物のライチが道端に放り出された。
通行人や近所の人たちは、それこそ転がり込んだ幸運とばかり、すべて持ち去った。ライチは中国唐代の皇妃・楊貴妃が好み、長安まで運ばせたという代物。そのライチが道端に転がっているのだから、「大地の恵み」ならぬ「ライチの恵み」だ。運んでいたライチは4㌧というから、かなりの量だがベトナム人の胃袋はそれをはるかに上回ったもようだ。
ネパールの旅客機墜落事故では、死体から金歯を抜き取ったという話も聞いた。
タイの地方でも昔、夜行バスの横転など事故があると、火事場泥棒のようなことが発生したが、今ではまれにしか起こらないようになった。
ベトナムの場合、略奪行為現場の動画をSNSで拡散した投稿者が、持ち去ったライチの返却と被害者に対する支援を呼び掛けた。
無論、「返して」と言ったって、ライチは消化済みだから後の祭りだ。それに鮮度の落ちたライチを返してもらっても、ただの生ごみにしかならない。
それでも一部の人々から、持ち去ったライチの代金を支払いたいとの連絡があった。そして何より、日本円で約22万円ほどの支援金が集まったというからSNSでの発信で人々の良心が喚起され、SNSの株は上がったことになる。
新聞やテレビによる報道では、こうした事故は無視されるか扱ってもベタ記事だろうが、SNSでは視聴者の良心に訴えることも可能だ。(T)






