猛烈な暑さが日本列島を襲っている。中でも北海道では、北見市で39度、帯広市38・8度など18カ所で観測史上最高気温を記録した。北海道の夏は涼しいというのは昔話のようだ。
40年も前になるが、ちょうど今ごろの季節、取材のため1カ月ほどかけて北海道を車で1周した。東京の有明埠頭からカーフェリーで苫小牧に着き、夏の北海道の爽やかさに驚いた。北方領土を望む根室の納沙布(のさっぷ)岬ではストーブを焚(た)いていた。
オホーツク海沿岸を北上し宗谷岬からサハリンを眺めた。7月終わりごろに札幌に入って少し暑さを感じたくらいだった。帰路は函館港から青函連絡船で青森に入ったが、そこでようやく夏の蒸し暑さを感じ、本州に戻って来たことを実感した。
幕末から明治期にかけて日本に滞在した英国の動物学者トーマス・ブラキストンは、津軽海峡を渡って北海道に行くとガラリと生物相が変わるのに注目して「ブラキストン線」を提唱した。小さな島国ではあるが、北海道や沖縄があることで日本の自然の多様性は格段に増している。
猛暑の自然への影響も心配だが、切実なのは暑い夏に慣れていない北海道の人たちの生活だ。札幌在住の同僚記者に電話をすると「こんなに暑い日が何日も続くと、ほんとに参ってしまう」との声が返ってきた。
同僚いわく、北海道でもエアコンを設置する家が増えているが、実際に使う生活感覚は少ない。今までの北海道とは違うという認識が必要なのだろう。






