
「山が動いた」――。1989年の参院選で自民党を過半数割れに追い込んだ社会党の土井たか子委員長の言葉として知られる。女性候補を大量に擁立し「マドンナ旋風」を吹かせ、自民党支持層を切り崩した。
今回の参院選では自民党は「岩盤保守層」に離反され敗北を喫したとされるので「地殻が動いた」と言うべきか。岩盤保守層とはいったい、何者なのか。ひと昔前であれば、保守と言えば高齢者と相場が決まっていたが、現在の高齢者は他ならない「山」を動かした世代である。
マドンナ旋風の後は新党ブーム(93年)、無党派旋風(95年)、共産党躍進(98年)、小泉劇場(2005年)、「政権選択」での民主党政権誕生(09年)、安倍晋三自民党総裁の政権奪還(12年)、そして今日に至る。
60歳以上となった気流子と同世代の今回の参院選での投票行動はどうか。新聞社の出口調査の年齢別投票先を見ると(朝日7月21日付)、トップは自民党である。次いで多いのは立憲民主党で、70代以上は両党でほぼ5割を占める。30代以下の世代では国民民主党と参政党でほぼ5割を占めているから、実に対照的だ。
高齢世代は自民党から離反しておらず、動いたとされる岩盤保守層では決してなかった。若い世代が「地殻」を動かしたのである。
「山」を動かした高齢者の今回の投票行動は惰性からか、熟考からか。とまれ「地殻」を動かすぐらいの元気が欲しい。同世代の気流子はそう思う。






