トップコラム原子力分野の人材が不足【上昇気流】

原子力分野の人材が不足【上昇気流】

川内原子力発電所

公表された令和6年度版原子力白書で、ロシアのウクライナ侵攻などに伴う化石燃料の価格高騰に対するには、エネルギーの安定供給に向けた対策が今まで以上に重要で、「安全最優先を大前提としつつ、原子力の活用も進めていくこと」を強調した。

しかし実際は2011年の東京電力福島第1原発事故以降、原子力分野の人材不足が顕著になっている。白書によると、内閣府などの調査で「10年以内に技術継承が困難となる」現状がある。

同事故以前、日本には54基の原発があり、わが国で使う電力の約25%を原子力で賄っていた。事故から14年以上が経過したが、地元の同意を得て再稼働した原発は14基のみ。多くは休業状態だ。廃炉を決定した原発は21基ある。

「東京電力はじめ(電力会社の)優秀な人材は『こんな所にいたら浮かばれない』と、既に少なからずが脱出(退職)してしまっている」(元東大公共政策大学院特任教授)という。また原発新設には20~30年かかるから、今からでも人集めし育てなければいけない。

ところが大学・大学院の原子力関連学科・専攻の学生・院生の数は30年前と比べると約3分の1に減り、原子力分野を専門とする大学教員数や研究炉も減少という不人気ぶりだ。

今、政府はAI(人工知能)や量子通信などの技術の高みを目指すことに躍起となっているが、総合科学技術として広く深く根を這わせ成長している原子力に対してこそ確かな展望を持つべきだ。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »