
夏に入り、特に慰霊の思いが強くなる。モンゴル公式訪問で天皇、皇后両陛下は、首都ウランバートルにある日本政府の「日本人死亡者慰霊碑」に供花された。終戦後、旧ソ連の捕虜となった旧日本兵ら約1万4000人がモンゴルに移送され、約1700人が亡くなっている。
日本人が抑留された地での慰霊は歴代天皇で初めてという。雨の中、傘を差した両陛下が碑の前に花輪を供え、深々と頭を下げて黙祷(もくとう)を捧(ささ)げられた。その後も天皇陛下が皇后陛下を促す形で傘を畳み、さらに一礼された。そのお姿を映像で見て目頭が熱くなった。
フレルスフ大統領夫妻主催の晩餐(ばんさん)会で、天皇陛下は御趣味のビオラでモンゴル国立馬頭琴交響楽団と共演。2曲目に日本の唱歌「浜辺の歌」を披露された。「浜辺の歌」は抑留者が故郷を偲(しの)んでよく歌ったという。
遺族の代表者は「とてもありがたく光栄。今までモンゴルの抑留者に日が当たってこなかったので、父をはじめ抑留者たちの魂が浮かばれたと思う」と語った。両陛下による慰霊はまさに天皇の祭司たる重要なお役割と改めて思う。
10年前の戦後70年目の節目でも、上皇、上皇后(当時は天皇、皇后)両陛下が大東亜戦争の激戦地パラオを訪れ、戦没者を慰霊された。日本人およそ1万6000人が戦死している。
戦場となった海に向けて深々と一礼された両陛下のお姿に英霊もどれほど慰められたことだろう。時代を継いで天皇陛下の慰霊の旅は続く。






