トップコラム「家族」を忘れた参院選【上昇気流】

「家族」を忘れた参院選【上昇気流】

参院選はいよいよ終盤。何だか雰囲気は、自民党が下野した2009年夏の総選挙と重なる。それは第1次安倍政権が倒れて2年後のことだった。

政治学者の宮本太郎氏は当時、こう指摘した。「脱官僚の延長に『個』を単位とした社会を展望する民主党か、家族や地域、業界など人のつながりを大事にする社会を作る自民党か。これは一つの争点」(毎日新聞09年7月30日付)。

その「個」の民主党政権が誕生すると、皮肉にも「家族」の大切さが浮き彫りにされた。11年3月の東日本大震災では「家族の絆」が被災者の心を灯(とも)し、12年夏のロンドン五輪ではメダリストの多くが「家族の支え」に感謝の言葉を贈った。

同年12月にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大教授は、記念講演で「家族の助けなしに今日という日はなかった」と目を潤ませた。その直後の総選挙で安倍晋三自民党総裁は「日本を取り戻す」と訴え、政権も取り戻した。

第2次安倍政権は「家族」を掲げ続けた。12年に作成した自民党の憲法改正草案は「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」との条項を設けた。

安倍氏が非業に倒れて3年。「家族」はまるで死語である。自民党すら言わなくなった。少子化対策でも「家庭支援」は口にされない。語られるのは「個」ばかりである。古古古米に続く個個個人。再びの「悪夢の政権」の予感がする。

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