トップコラム【ワシントン発 ビルガーツの眼】フェンタニルは非対称戦兵器 報告

【ワシントン発 ビルガーツの眼】フェンタニルは非対称戦兵器 報告

中国、メキシコに密売拠点構築

中国は、メキシコの麻薬カルテルを秘密裏に支援し、合成麻薬フェンタニルを、世界資本主義のリーダーである米国に対する非対称戦兵器として利用している――元軍人と民間の諜報(ちょうほう)専門家で構成するシンクタンク「中国共産党生物脅威イニシアチブ」が最新の報告書で指摘した。

報告書の共著者の一人、ライアン・クラーク氏は、収集した情報から、メキシコの麻薬カルテルの拠点が米国内の各地に存在し、フェンタニルを生物化学兵器として米国への直接攻撃手段として使用できることが明らかになったと指摘した。

アジアで豊富な経験を持つ元情報当局者のクラーク氏は「非国家の違法活動と国家主導の敵対的戦略の境界を故意に曖昧にするこの手法は、中国共産党とその情報機関、特に統一戦線工作部と国有中国企業の特徴だ」と述べた。

フェンタニルは中国にとって戦略的ツールであり、中国が進める「超限戦」の一部として使用されている。超限戦では、強力な米国とその同盟国と対峙(たいじ)する際に、中国軍が持つ弱点を補うため、非対称兵器や秘密計画を幅広く活用することを提唱している。

報告書によると「中国共産党は、米国を標的とし、弱体化させ、最終的に解体し、台湾を征服し、インド太平洋を支配し、中国の絶対的な支配と管理に基づく新たな『国際システム』を再構築するという戦略的意図を維持している」。

また、「米国の指導者らと国家安全保障機関は、地理的に分散し、ネットワーク化され、高度に適応能力を持つメキシコを拠点とする脅威グループに直面しており、その数は指数関数的に増加している」と指摘。「これらのグループは、中国共産党の戦略的支援を受けて、米国に対する極秘生物化学兵器作戦に積極的に関与している」と強調している。

トランプ大統領は2月、開かれた国境と大量の不法移民がフェンタニルの密輸を助長しているとして国家非常事態を宣言した。

大統領令には、「中国共産党は、中国政府と企業への最終的な支配権を握っており、中国の化学企業に対し、フェンタニルと関連する前駆体化学物質の輸出を補助金などの奨励策で支援してきた。この化学物質は、米国で違法に販売される合成麻薬オピオイドの製造に用いられる」と明記されている。

フェンタニルの密売収益の資金洗浄からも、中国が米国民を標的とする薬物戦略に関与していることを示す手掛かりが得られる。

報告書によると「中国共産党はメキシコを拠点とし、米全土に及ぶ脅威ネットワークを基本から設計し、稼働させ、戦略的に支配している。現在、このネットワークは、合成麻薬を運んだり、違法に入手した資金を洗浄したりするために利用されている」。

さらに「このネットワークは複合的な構造を持ち、全体または一部を短時間で再編成し、米国の食料供給を直接脅かす他の種類の非伝統的兵器を移動・展開させる能力を持つ」と組織の全容の把握の難しさを指摘している。

また、合成麻薬の輸送に利用される主要ルートがあり、米農業部門で働かせるためにカルテルによって数多くのメキシコ人などラテンアメリカ人が送り込まれているという。これらは米国の食料安全保障にとって「直接的なリスク」であり「急激に拡大している」と警告した。

報告書は、中国のフェンタニル密輸ネットワークでの役割は複雑で、分散化・分割されており、調査したり、対策を講じたりすることには困難が伴うとの見方を示した。一方で、フェンタニル密売に関与する中国とメキシコのネットワークを完全に解明し、情報収集を行うよう呼び掛けている。

ビル・ガーツ氏 著書に『Deceiving the Sky(空を欺く)―地球的覇権狙う共産中国、活動の内幕』(Encounter Books)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »