
ブラジル生まれの世界的な写真家、セバスチャン・サルガド氏が亡くなった。81歳だった。ブラジルの大統領勲章や英国の王立写真協会賞を含む数々の栄誉に加え、ユネスコの親善大使も務めてきた。
筆者は長年のサルガドファン。ブラジルで開催された写真展には何度も足を運んだ。写真展で直筆サイン入りの限定写真集を見つけた時は迷わず購入した。部屋の中にも作品のポスターやプリントを飾っている。
サルガド氏の作品は全てがモノクロだ。デジタルの時代に入ってからも、モノクロにこだわる作風は続いており、最新の作品集「アマゾニア」でも全編がモノクロで構成されている。
筆者が特に感動を覚えたのは、氏の最後の作品となるアマゾニアの写真展をサンパウロで見た時だ。巨大な倉庫を使った写真展には数百もの巨大な写真が展示され、アマゾン熱帯雨林の自然とそこに住む先住民族の写真が並ぶ。
氏のモノクロ写真の神髄に触れたのもこの時だ。光と影、そしてモノクロの豊かな階調からは自然の美や迫力、神秘が伝わってくるだけでなく、熱帯雨林や先住民族の「色」まで感じた。
サルガド氏が、この作品のために7年の取材を敢行したのも驚きだ。取材時の年齢は70代。酷暑の熱帯雨林内で撮影を行い、先住民族の撮影では森林内にポートレートのためのスタジオセットを組み、狩猟などにも同行している。
地球の美と神秘と人々への尊厳、労働や移民・難民などの社会問題を世界に訴え続けたサルガド氏。人類と地球への大きな貢献を果たした氏の冥福を祈るばかりだ。(S)






