
韓国でもプロ野球はKリーグ(プロサッカー)と並んで人気の高いスポーツ。最近はメジャーリーグで活躍する選手の試合を衛星テレビで中継することが多くなった。ただ、同じアジア系である大谷翔平選手の活躍が華々し過ぎて、どうしてもそっちに目が行ってしまう。大谷選手と同じドジャースに所属するキム・へソン選手や昨年韓国からジャイアンツに移籍した「韓国のイチロー」ことイ・ジョンフ選手よりも「オオタニのホームラン」を先に伝えるメディアも少なくない。
韓国でプロ野球が発足したのは1982年。軍事独裁政権に反対した民主化運動で市民にも犠牲者が出た光州事件などの痛みが消えない中、時の全斗煥政権が「国民の目を政治からそらす」政策の一環としてスポーツを奨励し、政権主導でできたのが韓国野球委員会(KBO)だった。光州をホームグラウンドとしたヘテ・タイガースは80年代、事件が起きた5月18日を挟んだ一定期間、本拠地での試合を組めなかった。政権が光州市民の再結集を恐れたためだった。
発足当時にそんな事情があったとは思えないほど、今は皆が純粋に野球観戦を楽しんでいる。先日、ある韓国人のベテラン記者と会ったら、開口一番に「今朝のオオタニ、見ましたか?」と聞いてきた。そして「イ・ジョンフは打てなくて嫌になっちゃう」とも。たとえスポーツであっても日本(人)に負けることは絶対に我慢できないはずだった韓国人の多くが、そんなこだわりを忘れてしまうほど「オオタニ」に魅了されているかのようだ。スポーツの力を実感!(U)





