トップコラム震災大国日本 専用病院船の就役急げ【上昇気流】

震災大国日本 専用病院船の就役急げ【上昇気流】

能登半島大地震で被害を受けた輪島朝市=5月29日(石川県輪島市)
能登半島大地震で被害を受けた輪島朝市=5月29日(石川県輪島市)

最大で29万8000人と見込まれる南海トラフ地震の死者数を、政府は10年間で8割減らすという。建物の耐震化、最大クラスの津波のハザードマップ作りや避難訓練などは具体策となるが、道路網の寸断など対策を講じるべき課題は多い。

能登半島地震では、道路があちこちで寸断され、救援・復旧の足枷(あしかせ)となった。南海トラフ地震に備え、四国では瀬戸内から太平洋側へ輸送路を開く「四国扇作戦」が計画されているという。

一方、紀伊半島の先端地域は、海岸に山が迫りその間を鉄道や幹線道路が通っている。不通となれば完全に孤立してしまう恐れがある。あとは海からの支援に頼るしかないだろう。能登半島地震では、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」から重機や支援物資が石川県輪島市に陸揚げされた。海自がチャーターした民間フェリーは同県の七尾港に停泊し、断水の続く中、市民に風呂を提供し、支援に駆け付けた人々の宿泊場となった。

特に医療の提供は急を要する。昨年6月に「病院船推進法」が施行され、今年3月には病院船の来年1月の運用開始に向けた整備推進計画が閣議決定された。とはいえ、当面は民間の既存船舶を活用するというもので、専用船舶の保有に繋(つな)げると記したが時期は明示されていない。

相変わらず腰が定まっていない。米海軍が保有する「マーシー」のような巨大な船でなくても、設備の整った高性能の「日の丸病院船」を早期に就役させるべきだ。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »