トップコラム鎌倉の紫陽花の来歴【上昇気流】

鎌倉の紫陽花の来歴【上昇気流】

梅雨のうっとうしい中でも、紫陽花(あじさい)を見ると心が清々する。関東では神奈川県の鎌倉に紫陽花の名所が多い。「あじさい寺」で親しまれる明月院、境内の斜面に幾種もの紫陽花が植えられた長谷寺(はせでら)がとりわけ有名だ。

源氏山のハイキングコースの入り口にある浄智(じょうち)寺の山門の前にも美しいガクアジサイが咲いていて、行くたびに写真に撮りたくなる。極楽寺や権五郎(ごんごろう)神社のあたりも紫陽花の人気スポットだ。散策途中の思いがけないところで出会えるのも魅力である。

それにしても、どうして鎌倉は紫陽花が多いのか。インターネットなどで調べてみると、鎌倉は三方を山に囲まれ、土壌が崩れやすい地形で、紫陽花の広く根を張る性質が土砂崩れ防止に役立つので古くから植えられてきたためという。

戦後、明月院の住職が敗戦で傷つき、荒廃した人心を慰めようと境内に紫陽花を植えるようになり、ほかのお寺などにも広まったという説明もある。一方、坂の斜面の多い明月院で柵を整備しようとしたが、物資不足でその代わりに紫陽花を植えたという説明もある。

正確にどちらが事実に近いのか分からないが、その両方のような気もする。鎌倉は幸い戦災を免れた。東京などが焼け野原となった中で、山々の間に昔ながらの古刹が残る鎌倉を訪ねて、そこに変わらない日本を見つけて安心した人も多いだろう。

そんな来訪者の心を紫陽花が癒やし、その評判が広まっていったのではないか。

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