トップコラム立ち乗りの風景も様変わり 韓国から

立ち乗りの風景も様変わり 韓国から

先日、所用で地方へ行った際、特急列車に乗った。週末だったせいか指定席は全て売り切れで、立席特急券しか買えなかった。立席だから車両のデッキか座席の横の通路に立つのが基本だ。日本にも一部列車で指定席が満席になると売り出されるが、韓国も同じ。値段は指定席より若干安い程度で、立ちっ放しで乗る苦労を考えると、もう少し安くならないものかと毎回思う。

30年ほど前、韓国で初めて立席で特急列車に乗った時は驚きの連続だった。まずそのにぎやかさ。当時はまだ4人掛けボックス席も多く、向かい合って座ると初対面でもすぐに打ち解けて話し出すのが韓国人の常だ。すぐ横にいる立席の客も話に加わったり、指定席のおばあちゃんが「立っているのは辛(つら)かろう」と言って自分の横に座らせたり。ある時は持ってきた間食用のゆで卵を配り始め、通路を挟んで反対側のボックス席まで行き渡るのを見たこともあった。

だが、今の特急列車の座席は全て進行方向を向き、乗客の大半はスマホに興じ、実に静かだ。それでも昔ながらの光景も目にした。それは指定席に座っていた乗客が目的地で降り、しばらく空席になると、すかさずその席に座る立席乗客の「ちゃっかりさん」だ。そして途中でその指定席を購入した「本物の乗客」が現れると、無言でスッと立って席を譲る。立席の乗客は昔からそんな暗黙のルールで座ったり立ったりしてきた。「立席料金しか払っていないのに」なんて野暮(やぼ)な文句を言う人がいないのが、いかにも韓国らしい。(U)

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