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中国海軍の空母「遼寧」と「山東」の2隻が初めて太平洋上で同時に確認された。遼寧は「第2列島線」を初めて越え、南鳥島のわが国の排他的経済水域(EEZ)内を航行した。
伊豆・小笠原諸島とグアム・サイパンを結ぶ第2列島線は、中国が台湾有事の際の防衛ラインと位置付けているとされる。2隻が第2列島線を境に米空母役と迎え撃つ役に分かれて演習した可能性があるという
艦載機による発着艦回数も計約520回に上り、かなり実戦的な訓練が実施されたようだ。空母2隻を展開する能力を示して、米国を牽制(けんせい)し日本を威圧しようという意図がありありだ。
1996年の台湾危機では、米国が派遣した空母2隻の前に旗を丸めるしかなかった中国は、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)で海軍力の増強に努めてきた。その象徴がこの2隻の空母だ。3隻目の「福建」も航海試験中という。
以前、海上自衛隊の元幹部に中国空母の脅威について聞いたところ「空母というのは潜水艦のいい餌食、金がかかる割に脅威は少ない」との答えが返ってきた。それならもっと潜水艦の戦闘力を質量ともに高めねばと思う。
ウクライナ、中東で戦争が進行する中、西太平洋では世界の軍事バランスを大きく崩す動きが静かに進行している。そのことを一番深刻に捉えるべき日本人は戦後80年の今もなお泰平の夢をむさぼっている。安倍晋三元首相の遺言とも言うべき「台湾有事は日本有事」の意味するところを真剣に考えるべきである。