
2023年10月7日、イスラエルの最先端対空迎撃システム「アイアンドーム」がハマスの奇襲攻撃に弱点を露呈した。アイアンドームがハマスのロケットを花火でもするように命中させる映像を公開して性能を誇っていたイスラエル国防省は頭を下げた。
多くの人が「90%以上の迎撃率を誇ってきたアイアンドームが、ハマスのロケット攻撃になす術(すべ)もなくやられたのはなぜか」と言って首を傾げた。アイアンドームの基本概念は、敵の弾道ミサイルやロケットを探知し、これを迅速に迎撃することだ。11年に初めて実戦配備された時には、多くの標的を同時に迎撃できなかった。今はミサイルとドローンの迎撃も可能なほどに進化した。
アイアンドームのレーダーは1分当たり最大200の標的の探知・追跡が可能だと言われるが、ハマスは23年の開戦初日、最大5000発以上のロケットをイスラエルに浴びせたという。鉄壁の防空網も設計能力を超える「夕立・蜂の群れ」(のような集中)攻撃にはお手上げだったのだ。
イスラエルが今月13日、米国とイランの第6回核交渉の2日後に控えて、いわゆる「ライジング・ライオン」(アムケラヴィ)という作戦名でイラン核施設の心臓部を打撃した。イラン軍の首脳部と核科学者などを含む少なくとも128人が死亡した。
即刻、反撃に出たイランも200機以上のミサイルとドローンでイスラエルの首都テルアビブなど主要拠点を空襲した。イランの新型弾道ミサイル「ハジ・カセム」にアイアンドームが突き破られ、イスラエルにも人命被害が相次いだ。2年前と同じで、多数・多種ミサイル(混ぜ撃ち)に弱点を露呈した。
韓国軍は10年、北朝鮮軍の延坪島砲撃挑発の後、イスラエルのアイアンドーム導入を検討した。しかし、首都圏を狙って1時間に最大1万6000発を浴びせることができる北朝鮮の長射程砲の能力はハマスより優れており、韓半島の状況に合わないと判断して今年1月、独自開発に乗り出した。「韓国型アイアンドーム」と呼ばれる北朝鮮の長射程砲迎撃システム(LAMD)だ。
いくら防衛システムを緻密に組み立てたとしても“無敵の盾”というのは実際、不可能に近い。だから軍の対応態勢を最先端の兵器システムだけに依存することができないのだ。穴の空いたアイアンドームが韓国軍に投げ掛けるメッセージかもしれない。見過ごしてはならない。
(6月17日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。