トップコラム宗教と政治の相克【上昇気流】

宗教と政治の相克【上昇気流】

旧統一教会(世界平和統一家庭連合)

歴史は繰り返すという。宗教と政治の関係でも構造的にそう変わっていないのではないか。豊臣政権や江戸幕府の施政下、キリスト教は宣教に乗じた侵略の意図を持ち、秩序体制を崩壊させる危険な教えとして排撃された。

現代は信教の自由が認められ保障されている。とはいえ新宗教、特に政治、社会、経済など俗世と密接に結び付いた“世直し的”宗教に対する本能的な警戒感はある。

一方で、権力者側といっても、その時代的な閉塞感を打破する理念、指標を宗教的なものに求めていたのも事実だ。世直し的志向を持つ新宗教の信者になり、あるいはその守護者の立場に立ったこともある。

その代表的な例が織田信長だろう。一向宗はじめ既存の仏教寺院勢力の抵抗にさんざん悩まされたことから、その打開にキリシタンの教義と世界観を利用しようとしたことはよく知られている。

その意味で今日、政治家と宗教団体との関係を単に「集票マシーン」と見るのは不十分だ。だが、宗教団体がまだコントロールできる規模であれば問題ないが、これが国家的政治的に多大な影響を及ぼすレベルになると、どうか。

これに対し野党が政府の権力行使にチェックを働かせるかというと、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題のように、むしろ積極的に政府・与党の尻を叩く図式が見られた。政府・与党はこれに押された形を取りつつ、教団への厳しい規制・対応を取った。権力の「DNA」とも言えよう。

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