トップコラムクマと共生するには【上昇気流】

クマと共生するには【上昇気流】

あるひ もりのなか くまさんに であった~の歌詞で始まる「森の熊さん」。米民謡を原曲とする童謡で昭和47(1972)年、ダークダックスがレコーディングし、NHKの「みんなのうた」で紹介された。リバイバル放送で聴いて、なんと長閑(のどか)な、の思いを禁じ得ない。

女性が森の中でクマとばったり出会い、一目散に逃げる。追い付かれてもうダメかと思いきや、クマは「ちょっと おとしもの」と白い貝殻のイヤリングを差し出す。最後に女性がお礼に歌う。

原曲も森の中でクマに出会い、逃げるところは同じだ。しかし、最後は木の枝にジャンプして掴(つか)まり何とか難を逃れるというもの。日本語の歌詞はクマの優しさが際立っている。クマと人間との関係が比較的良好だった頃だから生まれた歌詞と言えよう。

近年はクマが人家の近くにまで出没し、大きな問題になっている。これまで人とクマとはうまく棲(す)み分けることで共生してきたが、さまざまな原因でその境界が崩れているのだ。

参院決算委員会で日本維新の会の串田誠一議員が、スギやヒノキの人工林が増え、餌となるドングリなどが減ったことが人里にクマが出没するようになった大きな原因と指摘。人工林を自然林に戻していく必要を強調した。

令和5年度の全国のクマの捕殺数9097頭のうち、約2300頭の秋田県は、スギ人工林の面積が全国で最も広い。クマ対策はスギ花粉症問題と同様、森林政策から始める必要がある。

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