イスラエルでは、ユダヤ暦シバン月6日に当たる6月1日の日没から2日にかけて、ユダヤ教三大祭りの一つである「シャブオット」を祝った。ペサハ(過越の祭り)から7週間後、つまり50日目に行われ、7週の祭りとも言われている。ヘブライ語で1週間を「シャブア」と言い、その複数形がシャブオット。学校や仕事は休みで、公共交通機関も運休となる。
古代イスラエル民族は、奴隷生活をしていたエジプトを脱出してシナイの荒野にたどり着いた。この民族を率いていた預言者モーセが、シナイ山で神から十戒をはじめとする律法を授かり、さらに神とイスラエル民族が契約を結んだという伝承を記念して祝う重要な祭りだ。
シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)は花で飾られ、敬虔(けいけん)なユダヤ教徒たちが夜通し旧約聖書のトーラー(モーセ五書)を学習する。また、この日は、ユダヤ人にとって最も偉大な指導者だったダビデ王の誕生日、命日とされ、ダビデはルツの曾孫(ひまご)であることから、ハフトーラー(預言書)のルツ記が朗読される。
小麦の収穫の時期でもあり、その昔、ユダヤ人は初穂を籠に入れて、笛を吹き、喜び踊りながら神殿に携えて行ったという。イスラエルのキブツ(集団農場)では、子供や若い娘たちが花冠を着けて白い衣装をまとい、歌と踊りで収穫を祝ってきた。
テロ組織の攻撃で甚大な被害を受けた北部や南部のキブツでは、1年半の避難生活を経て、戦争が始まって以来、初めてシャブオットを祝った。(M)