
従来のコンピューターに比べ情報処理能力が格段に優れ、ひいては国家の安全保障にも大きな影響を与えるとされる量子コンピューター。その開発は米国が先行し、中国が追随して熾烈(しれつ)な国際競争が繰り広げられている。
これに対し、石破茂首相は今年を「量子産業化元年」として「産業化に向け戦略を抜本的に強化する」と表明。量子技術と人工知能(AI)を融合した量子コンピューターの新しい計算技術開発の支援を表明した。
そこで思い出されるのは、わが国のハイテク産業が世界的に知られるようになった1970~80年代。半導体やコンピューター産業では官民の間で情報がきめ細かいところまで共有された。
産業政策として、技術の発展方向を正確に定めた。その上、企業間でも基礎的な技術が共有され、半導体の設計、製作などの技術が目覚ましく進展した。
量子コンピューターに狙いをつけた今日はどうか。開発に携わっている大手メーカーは数社あるが、各社の開発ポイントはさまざまで、その進捗(しんちょく)状況も異なっている。今後、総花的な支援では産業化までの成功はおぼつかない。
量子技術の中で日本が一頭地を抜くのは光量子コンピューターの技術。文字通り光が情報の担い手となって大規模な量子計算が可能だ。これを重点的に支援し、一点突破、全面展開して産業化につなげる方法を取ってはどうか。
その過程で量子技術を自家薬籠中のものとし、技術立国の輝きをぜひ取り戻したい。





