トップコラムハーバード大は対岸の火事か【上昇気流】

ハーバード大は対岸の火事か【上昇気流】

米ハーバード大=2024年1月、東部マサチューセッツ州ケンブリッジ(EPA時事)

トランプ米政権が米国の名門私大ハーバード大学に対し外国人留学生の受け入れ資格を剥奪するなど一連の厳しい措置を通達した。これまで大学を拠点とした左翼学生運動の巣窟とされた問題に本格的にメスを入れた形だ。

政権側は同大に対し既に補助金20億ドル(約2900億円)以上を凍結しており、大学側は補助金凍結や留学生への措置に関して法廷闘争に持ち込むという。

もちろん、この措置については「諸刃の剣」の一面もある。中国など共産党独裁下における学問・言論の自由の制限から逃れ、自由民主主義を求めている留学生の締め出しにもつながる。

しかし、米国の名門私大の多くが特に中国のスパイ留学生や中国当局および関連企業の膨大な寄付金等の工作を受けている。「大学が中国と連携している」(トランプ大統領)という懸念は今に始まった問題ではない。

日本もこれを対岸の火事視すべきではない。日本人留学生に影響するという以上に、大学の在り方が問われるのだ。政府は2023年5月の答弁書で、早稲田大や立命館大など国内の少なくとも13大学で、中国政府の教育機関「孔子学院」が設置されていると明らかにした。

欧米では中国が情報収集やプロパガンダ(政治宣伝)の拠点にしているとの懸念が根強く、閉鎖の動きが広がっている。ハーバード大では各国のエリートを養成しており、その影響は大きい。日本政府も状況把握にとどまらず具体的な対策を急ぐべきだ。

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