イスラエルでは、ユダヤ暦イヤル月18日に当たる5月15日の日没から16日にかけて、ユダヤ教の祭り「ラグバオメル」を祝った。
珍しく休みにならない祭りで、商店は開いているし公共交通機関も動いている。
ユダヤ教三大祭りの一つである「過ぎ越しの祭り」の2日目から数えて33日目がこの日に当たる。ラグとはヘブライ数字の33を表し、オメルは麦の束のことである。
2世紀、ローマ帝国の支配下にあったユダヤ人が解放を求めて将軍バルコクバの下で蜂起した際、ユダヤ教宗教指導者ラビ・アキバの弟子たちを疫病が襲い、2万4千人が倒れた。疫病はラグバオメルの日に突然収まったという伝承がある。
別の伝承では、同じ時代、ユダヤ教を禁じたローマ軍に従わず弟子たちを教育し、ガリラヤ山中の洞窟で13年間イナゴマメを食べて暮らしたラビ・シモンバルヨハイの命日とされている。弟子たちへの最後の願いが、死を悼むのではなく祝ってほしいということから、この日、北部ガリラヤのメロン山にあるラビの墓地には多くの巡礼者が集まり、盛大な祝賀が行われる。巨大なたき火がともされ、夜明けまで火を囲んで歌い踊り続けられる。
メロン山での祭りの習慣がイスラエル全土に広まって、町や村でもたき火を囲んで歌ったり、ジャガイモなどを焼くようになったという。
祭りの夜、隣りの空き地で若者たちが火を囲み大音量のディスコミュージックで踊っていた。夜明けまで続いたおかげで、こちらは寝不足だ。(M)