トップコラム思い馳せる沖縄の「真実」【上昇気流】

思い馳せる沖縄の「真実」【上昇気流】

「実際、僕らは沖縄で偏向に近い教育を受けてきた。小中高校を通して一部教員を除き『君が代歌うなとか、日の丸に敬意を表するな』という教育だった」。

沖縄県石垣市の中山義隆市長が「偏向教育」の実体験を語っている(16日の定例記者懇談会=琉球新報17日付)。今年は自民党の西田昌司参院議員の「ひめゆりの塔」発言もあり、沖縄を巡る「歴史の真実」が問われている。

中山氏の話はほんの一例だろう。偏向の最たるものは「日本軍が本土決戦の時間を稼ごうとして、多くの人たちを犠牲にした」とする沖縄「捨て石」論ではないか。学校で叩(たた)き込まれたという県民は少なくない。

真実はどうか。最後の激戦地だった糸満市摩文仁の丘には全国各県の慰霊・平和祈念施設が立ち並んでいる。日本側の戦没者18万8136人の3分の1は県外出身兵である。本土から飛び立った特攻機は2000機以上で、学徒出陣の若者らが操縦桿(かん)を握った。

「沖縄決戦に総進撃せん」と題する朝日新聞1945年5月15日付社説は「沖縄決戦は全世界の注視するところ、況んやわれら一億国民に於いてをや。全身全霊をもって凝視し、祈念し、挺身をもって特攻を辞せざるの覚悟である」と国民挙げて沖縄を死守しようと鼓舞している。

「捨て石」どころか、国民の総力戦だった。その真実を肝に銘じたい。終結したのは6月23日。慰霊の日である。だからこそ国民こぞって沖縄に思いを馳(は)せるのだ。

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