トップコラム〝モンペ〟が闊歩する学校

〝モンペ〟が闊歩する学校

モンペ

東京都立川市内の小学校で男二人が教師に暴力を振るい大暴れした。男たちは子供同士のトラブルに対する学校側の対応に不満を持った母親から呼ばれたのだという。いわゆるモンスターペアレントだ。

モンスターペアレントは今、「モンペ」と略して言われる。それを知って、昭和世代の筆者は母親がはいていた「もんぺ」と勘違いして笑ってしまった。

かつての農家の女性たちはみんなもんぺをはいていたから鮮明に覚えている。一方、地域の中で「聖職者」として尊敬されていた教師に理不尽な要求を突きつける保護者については聞いたことがなかった。いたとしても、地域の顔役が出てきて丸く収めていたのではないか。

令和の時代になっても、腰回りや太もものあたりがゆったりとしたもんぺを愛用する人はいるようで「MONPE」という表記も生まれている。ただ、筆者とは逆に学校を闊歩(かっぽ)するモンペは知っていても、もんぺは何のことか分からない世代が増えている。

教師による不祥事が絶えず、かつての聖職者は権威ある存在でなくなった。その一方で、生活に追われ不満だらけの大人たち。みんな一度もんぺをはいてみたら、少しは心のゆとりを取り戻せるのではないか、と余計なことを考えてしまった。

それはさておき、モンペには「自己中心タイプ」と「病的タイプ」があるらしい。立川の母親はどちらのタイプなのか分からないが、いずれにしても、頭に血を上らせた保護者への対応は学校だけでは難しい。苦情対応に慣れない教師がかえって事態をこじらせてしまうこともある。モンペは教師の離職の一因にもなっている。

そこで、学校と保護者のトラブルの仲裁を行う機関を設ける自治体が出てきている。弁護士などの専門家や心理士などが対応するのだという。モンペに苦慮する現実を知れば知るほど、もんぺが懐かしくなる。

(森)

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