トップコラム宗教リテラシーとは何か【上昇気流】

宗教リテラシーとは何か【上昇気流】

NHKEテレ「こころの時代」のシリーズ徹底討論「『解散命令』で何が変わるのか」を観(み)た。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令を東京地裁が出し、教団側が東京高裁に即時抗告したことを受けての番組だ。

島薗進氏を司会に、宗教学者や憲法学者、宗教家が討論したが、予想通り偏ったものだった。献金問題などの「被害者」の多くが、重大な人権侵害である強制改宗(ディプログラミング)による離教者という「不都合な真実」に目をつぶるもので、宗教者、学者としての見識、学問的良心を疑わせるものだった。

議論が深まるはずはなく、特に残念だったのは、東北学院大学教授の川島堅二氏。宗教リテラシーを高めることの重要性を説きながら、その内実は、正体隠し伝道への警戒などネガティブ面だけを取り上げるものだった。

本人はキリスト教牧師でもあるが、結果的に人々を宗教から遠ざけている。そんな議論の中で唯一、有意義な発言をしていると思ったのは、イスラム研究者の八木久美子氏。

八木氏は「日本社会にはどこかに宗教は自分の考えで選ぶのが正しく、受け継ぐのは間違いという考えがあるが、イスラム教徒だけでなくキリスト教や仏教も世界の圧倒的多数は、宗教を親から受け継ぐのは当たり前と考えている」とし、「『宗教2世の問題』という言い方は非常に好きではない」という。

こんな世界の常識を知ることこそ、宗教リテラシーの第一歩ではないか。

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