トップコラム閉学の運命にある女子大

閉学の運命にある女子大

大型連休の中日、東京都多摩市の「多摩よこやまの道」を歩いた。

約10キロの道の中間地点には恵泉女学園大学のキャンパスがある。カトリックの女子大学だが2023年度をもって学生募集を停止、閉学の運命にある。

塀越しに中を覗(のぞ)いてみると、三角屋根の修道院風の建物のそばにイングリッシュガーデンのような、おしゃれな庭、奥には大きなチャペル。後ろには広い農場が広がっていた。

大学ホームページには、創始者・河井道の理念に基づき、「聖書」「国際」「園芸」を教育の柱に据えているとある。園芸を正課とするなど教育はユニークだ。

大学のすぐ前に、もう一つ体育系の部活動に力を入れている国士舘大学多摩キャンパスがある。「よこやまの道」沿いには陸上競技場、ラグビー場、野球場など、数多くのスポーツ施設が立ち並ぶ。近年、スポーツに強い大学の躍進ぶりが際立つ。

4月25日、京都ノートルダム女子大学が来年度以降の学生募集の停止を発表した。京都ノートルダム、恵泉女学園、どちらの大学も系列の中学・高校を持っているが、生徒は系列大学ではなく他大学に進学してしまう。こうしたことから、定員充足率が低下し、経営難に陥る大学が多いようだ。

2020年度以降、学生募集を停止した4年制大学は11校。うち女子大学が5校。キリスト教系で系列の中学・高校がない大学は相当危うい。男女平等の時流に合わなくなったということだろうが、理系の学部・学科が少ない女子大が理系女子に敬遠されているとも聞く。

16年の頃、日本学術会議のシンポジウムで名門女子大学のトップが、「女子大はジェンダーを先導する役割を担っている」と豪語していたのを思い出す。皮肉なことにジェンダー平等に最も力を入れてきた女子大が、文系・理系の偏りを是正できないでいる。私の母校もそうだが、時代の女子ニーズを読み違えた。

(光)

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