トップコラム恐竜王国・福井の創生戦略【上昇気流】

恐竜王国・福井の創生戦略【上昇気流】

恐竜の化石の前に立つ、福井県立大恐竜学部の西弘嗣学部長=4月 18 日、福井県永平寺町

日本で初めての恐竜学部がこの4月、福井県立大学に創設された。1期生として県内外から34人が入学。4年間に地質調査や化石のレプリカ作成、語学、3Dモデリングなど恐竜研究に必要な技術を学ぶという。

福井県は日本一の恐竜化石発掘数を誇り、フクイサウルスと命名された恐竜もいる。恐竜が生息していた時期の手取層群に化石が集中するボーンヘッドがあり、長年にわたり精力的に発掘調査が進められてきた。

2000年に開館した勝山市の福井県立恐竜博物館の入館者も、昨年度初めて100万人を超え126万人に達した。23年に改装を施し、北陸新幹線の敦賀延伸で関東甲信地方からの来館者も増えた。

北陸新幹線の開業で福井、石川、富山の北陸3県の観光業は活気づいている。石川は加賀百万石の文化、富山は立山や富山湾の海の幸などが目玉だ。それに比べると、福井の東尋坊や永平寺などはやや地味なイメージだった。そこに救世主として現れたのが恐竜だった。

いや、県の戦略で恐竜を救世主にしたと言っていいだろう。問題は、福井の恐竜王国としてのブランドをいかに実質的な地方創生に繋(つな)げるかだ。

世界的に著名な恐竜研究者5人を客員教授に招き、特別授業や共同研究も行う恐竜学部への期待は大きい。1期生は約8割が県外出身というが、西弘嗣(にし・ひろし)学部長は卒業生が福井に住み恐竜に関連した職に就いてくれることを期待している。若い人も呼び寄せる恐竜恐るべしだ。

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