トップコラム弘法大師と独鈷の湯【上昇気流】

弘法大師と独鈷の湯【上昇気流】

独鈷の湯

ゴールデンウイークの期間、各地の観光地は多くのインバウンド(訪日客)でにぎわった。日本人の場合、旅行や観光では温泉が定番の一つと言っていい。

かつて、弘法大師(空海)が大同2(807)年に開いたという伊豆半島・修善寺の「独鈷(とっこ)の湯」を訪れたことを思い出す。川にある露天風呂だ。独鈷は仏具で、それで川の岩を打ったことで温泉が出たため、この名前が付いた。

病気の父の身体(からだ)を川で洗っていた少年の孝行に心を打たれた空海が、憐(あわ)れんで湯を出現させた。それで父の病気が快癒したため、温泉治療が広がったと言われている。

気流子が訪れた当時は入浴できたが、現在は入浴不可となっている。それにしても、独鈷の湯というのはいかにも治療効果がありそうな名前だ。空海が各地で起こした奇跡の伝承は多い。

その中でも、仏具が主役になっている独鈷の湯は印象的だ。仏像はその権能を示すアイテムがペアになっている。薬師如来であれば薬壺、不動明王であれば剣などというように。

その意味で、アイテムは重要である。ある人物を思い浮かべる時、その顔とともに連想するのはいつも持っているアイテムだ。特に、政治家の愛用しているものは印象に残ることが多い。吉田茂元首相であれば葉巻。だが、葉巻が一番似合っているのは元英首相のチャーチルだ。そのチャーチルは1940年のきょう、第61代首相に就任した。ノーベル文学賞も受賞したまれな政治家である。

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