トップコラム元三大師像の特別開帳【上昇気流】

元三大師像の特別開帳【上昇気流】

深大寺

東京都調布市にある深大寺は樹木に囲まれた自然豊かな所。境内の本堂前左手に「なんじゃもんじゃの木」があり、白い小さな花々が満開だ。モクセイ科の樹木で、名前は「見慣れない珍木」という意味。

左奥の元三大師堂では今、令和の大修理を終えた元三大師像の記念特別開帳が行われている(6月2日まで)。先回のご開帳は2009年の1025年遠忌の時で、いつも拝観できるものではない。

貴重な機会なので早速参拝した。行列での待ち時間は15分から30分。回廊に上がって本堂正面から入り、人数を区切って大師像の前に並び、しばし祈祷(きとう)。僧侶らが護摩木を焚(た)き、太鼓を叩(たた)き、読経するなど供養している。

拝観料は冊子を含めて1000円。この冊子には大師像と修理に関する詳細な記述があって、興味を誘った。座像だが高さ195・1㌢という巨像で、鎌倉時代に元寇に際して造られたらしい。

秘仏のために容易に点検できず、痛ましい姿になっていたという。奈良の文化財保存修理所での作業は、調査・記録、クリーニング、解体、剥止め、材料強化・損傷部の修理、組付け(剥ぎ目の修理・補強)、仕上げと続いた。

法具の独鈷(とっこ)が金色に輝き、数珠も真っ白で、きれいになった実感が伝わる。読経を聴きながら拝顔していると、生きて呼吸をしていた大師そのもので、緊迫感と強い生命感が伝わってくる。昔から人気があったというのも、当然のことだと納得した。

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