
大型連休のころになると、決まってアオオサムシが現れる。生きている姿が多いが、踏みつぶされた死骸の場合もある。ミミズや毛虫をくわえたまま死んでいるのを見たこともある。
アオオサムシは甲虫の仲間。「オサムシ科」に分類される。アオオサムシといっても、色はブルーではなく、深緑が多い。翅(はね)は退化したので、飛ぶことができない。結果、各地域で色が微妙に異なる。
金色っぽいのもあり、黄色がかったものも。コゲ茶色の個体を見たこともある。房総半島(千葉県)南端に近い鋸山(のこぎりやま)以南は、黄色・金色・コゲ茶色の個体が多いようだ。
虫を嫌う風潮が強い中、甲虫愛好家の間でオサムシは、カミキリムシと並んで人気が高い。そういえば俳句の中で昆虫が登場することは少ない。セミも含めて「鳴く虫」と俳句は相性がいいが、それ以外は人気がない。そこは歳時記を見れば分かる。
オサムシの兄貴分であるマイマイカブリ(オサムシ科)は日本特産種。海外の昆虫愛好家にとっては「日本を代表する名虫」とされる。「マイマイ」はカタツムリのこと。それをかぶるようにして肉を食べる。
日本列島が大陸から分離したのが1500万年前。列島形成以来、マイマイカブリは連綿と生き続けている(坂爪真吾著『日本百名虫』文春新書)。それでも、10年前と比べれば、アオオサムシは減った。マイマイカブリに至っては全く見掛けない。都市化が着実に進んでいることは間違いない。