
中国の北京で人工知能(AI)搭載の人型ロボットのハーフマラソン大会があった。中国メーカーなどから約20体が参加し、数体が完走したという。沿道の市民から声援を受ける様子がTVニュースに流れていた。
車輪を使わず二足歩行ができ、遠隔操作か自律走行ができるロボットであることが出場の条件。レース中、足が動かなくなったり、いきなり横に倒れてリタイアしたりするなど滑稽な場面もあった。
電池交換を何度か行ったり、何人かが伴走し進む方向を正したり……と、映像で見る限り完成品でなく、人間に似ていると思わせるのに汲々(きゅうきゅう)としている段階だった。
しかし、ミスを衆目にお構いなくさらしているのは、逆にロボット技術の先進性にかなり自信があるのではないか。それをアピールしようという中国の意図が伝わってきた。米国を向こうに回したAI搭載のロボット技術開発への並々ならぬ力の入れようが窺(うかが)える。
中国の場合、車の自動運転の技術開発などでも国を挙げての取り組みが進んでいる。それを思うと、当局の主導で開発が推進されれば、中国国内での人型ロボットの需要、さらに海外への輸出が見込めるようになるのではないか。
わが国はロボット先進国で、工場内での極限作業などを行う産業分野のロボットは世界各国に輸出されてきた。しかし、その技術の到達点も見えている。AI技術とロボット技術を融合させた、高度な汎用(はんよう)ロボットの開発が待たれる。