韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」
「ああ、先輩方、ここでこんなことをしてはいけません」「君は何期だ」
20年前の話だ。海兵隊の予備役5、6人が新聞社に乗り込んできた。ベトナム戦争当時、枯葉剤の被害問題と関連した記事に不満を抱いた人たちだった。赤い帽子と「カエル軍服」(韓国軍の旧戦闘服、緑色の迷彩服)姿の予備役たちがスーツ姿の担当部長とつかみ合っていた瞬間、海兵隊出身の若い記者が立ち上がった。双方は「何期だ」「何期です」と言葉を交わした後、一緒に静かに場所を変えた。1世代近い年齢の差でも、「赤い名札」(海兵隊)出身という見えない絆で結ばれた人々のように見えた。
大韓民国の3大組織と言えば、よく海兵隊戦友会、湖南(全羅南北道地域)郷友会、高麗大校友会が挙げられる。これらの固い結集力は世界のどこに行っても有名だ。その中でも海兵隊予備役出身の集まりである海兵隊戦友会は、現役時代の国家に対する献身を社会と地域に対する奉仕に発展させる枠組みとなっている。残念な海兵隊チェ上等兵事件(2023年夏の集中豪雨による行方不明民間人捜索作戦中にチェ上等兵が死亡した事件)でも、(捜査団長で“外圧”に巻き込まれた)パク・ジョンフン大佐の周りにはいつも心強い予備役がいて頼もしい。
会員100万人の同会で1981年創立44年で初めて非海兵隊出身の副総裁が誕生した。陸軍下士官として退役したキム・グフェ南北文化交流協会理事長が副総裁に任命されたのだ。海兵隊の政策発展諮問委員であるキム氏は毎年、海兵隊の部隊を訪ねて将兵を慰問するなど、海兵隊発展に寄与した功労で名誉海兵隊に任命されたことがあるという。キム氏は「今後、海兵隊戦友間の疎通と和合、戦友会の活発な護国報勲活動を新たな次元に発展させ、全国民から愛される組織にしていくため、海兵の精神で活動したい」と抱負を表明した。
陸軍出身の海兵隊戦友会副総裁は、湖南郷友会副会長を大邱・慶尚北道出身が、高麗大校友会副会長を延世大出身が引き受けるような破格だとすれば、大げさ過ぎるだろうか。同質性で固く結束し排他的に見えた海兵隊予備役たちの異質性を受け入れる果敢な勇気と決断力に拍手を送る。生態系や生命体も持続的な生存と進化のためには異質的な要素が結合する多様性が重要だ。組織発展のために逆発想も厭(いと)わない「八角帽」(海兵隊)の柔軟な思考から韓国社会が学ぶことはないだろうか。
(4月18日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。
「セゲイルボ」