
フランスのチョコレート専門店(ショコラトゥリ)の店頭には、復活祭になると卵型のチョコレートが飾られる。復活祭とはイエス・キリストの復活を祝う祝祭日で、フランスではパック(Pâques)と呼ばれる。卵型チョコは命の誕生・再生を意味する。
カトリック系日刊紙ラ・クロワは「カトリック教会が危機に瀕しているにもかかわらず、カトリックへの改宗者が増える現象がここ数年にわたって起きている」と伝えた。今年の復活祭の4月20日に1万人以上の成人(2024年と比較して45%増)が洗礼を受け、過去最高を記録した。
かつては生まれた直後の幼児洗礼が一般的だったフランスだが、復活祭洗礼は信仰を決意した成人が対象だ。ラ・クロワはフランスの都市部と地方の10教区と提携して独自の調査を実施、1011人が回答した。
まず、洗礼志願者の半数(51%)が、改宗の理由として「強い霊的体験」を挙げている。これらの新改宗者たちは衰退傾向と逆転している。「宗教からの離脱に向かう傾向がある世俗化の古典的な理論に反して、彼らを組織への帰属へと向かわせるのは、彼らの精神的な経験にある」と分析している。
ある洗礼志願者は「許しと信仰の人生を送って他界したカトリックの祖父母が、大人になった私に語り掛けてくる」と答えている。
さらに2019年4月のパリのノートルダム大聖堂の火災を挙げた人が16%いた。戦争のにおいさえもする先行き不透明な世の中、カトリックでは死後、洗礼者以外は救われないとされる。その切迫感もあるかもしれない。(A)