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ネット検索をしていて、ものまねタレントのコロッケさん(65歳、本名:瀧川広志)の「あおいくま」の話が目に留まった。熊本県生まれ。両親は幼少期に離婚し母親の下で育てられ、父親の姿、顔すらも覚えていないという。学校で貧乏を揶揄(やゆ)されたり、中耳炎で耳だれ、臭いがした時に「汚い、くさい」といじめを受けたことも。
そんな中でも「貧乏だな~」「惨めだな~」と思ったことは、なかったという。母の底抜けの明るさが救いだった。母親は、どんなに厳しくても親族にカネの無心はせず、別れた夫への愚痴も言わない気丈な人だったという。
ある時は一日三食、「もやし」がおかずだったり、お米が無い時には手元にあった「あられ」を茶碗に盛って「きょうのご飯は、あられたい!」(熊本弁で)母親は明るく振る舞い、笑いの絶えない家族だった。清潔好きの母は、毎日銭湯に行かせ、ボロボロの服でも奇麗に洗濯して子供に着させ「清潔にしていれば、大丈夫」というポリシーの持ち主だった。
コロッケさんの実家には「あおいくま」の標語が張ってあったという。「あ=あせるなお=おこるない=いばるなく=くさるなま=まけるな」の五つの言葉は「人生は、この五つの言葉たい」という母親からもらった人生訓で芸能界で生き残る術(すべ)としている。
もともとは京都の建仁寺(臨済宗)に伝わる禅の教えで「おいあくま」。それを旧住友銀行元頭取の堀田庄三氏が戒めの信条として伝え聞いた。コロッケさんの「あおいくま」は順番が入れ替わっているけれど、言っている内容は同じ。堀田氏は「五戒」を事あるごとに新入社員や幹部社員に語り、社内に浸透させていったという。
子供の時分に元気の出ない時にはコロッケ風の「あおいくま」、成長して自分で物事を考え、行動を起こさないといけない時には堀田風の「おいあくま」も必要な時がくるだろう。
(和)