トップコラム春の緑道の命の輝き【上昇気流】

春の緑道の命の輝き【上昇気流】

自宅近くにある緑道を久しぶりにゆっくり歩いた。桜はほぼ散って若葉が萌(も)え出ている。見上げると若葉の黄緑色が日に透かされて美しい。開幕した大阪・関西万博のテーマではないが、命が輝いていると思った。

この前まで沢山の白い花を付けていた辛夷(コブシ)も若葉の装いに変わった。小ぶりな若葉とともに白い清楚(せいそ)な花を咲かせている樹(き)も。銀杏(イチョウ)の枝では新芽が出番を待っている。

植え込みも入れて幅5㍍ほどの緑道だが、途中車道に分断されながらも500㍍ほど続いていて、季節ごとにさまざまな花や草木を楽しむことができる。

木の枝を見ると、雀(スズメ)よりも小さな小鳥が動き回っていた。芝生の上でも褐色の小ぶりな野鳥が餌を漁(あさ)っている。天気が良く気温も上がったせいか、蝶(チョウ)も結構飛んでいた。やはり春は命の営みが輝き脈打つ季節だ。

緑道の魅力、大袈裟(おおげさ)に言えば生物多様性に気が付いたのは5年前、新型コロナウイルスが蔓延(まんえん)しだした頃だ。運動不足を補うための散歩や気分転換で足を運び、時間ができた分、ゆっくり歩く中で感じるようになった。コロナ禍が残した数少ない効用の一つだ。

緑道の脇に子供らがボール遊びをする児童公園がある。ベンチではよく南アジア系の男性らが母国語で話しているが、この日は、インドのサリーに似た服を着た女性2人が、生後1カ月ほどの赤ちゃんを連れて日向(ひなた)ぼっこをしていた。春の陽(ひ)を浴びて眠る赤ちゃんの顔も命の輝きを放っていた。

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