トップコラム離島防衛へ確かな一手【上昇気流】

離島防衛へ確かな一手【上昇気流】

自衛隊海上輸送群の発足式典で、中谷元防衛相(手前左)から隊旗を授与される群司令の馬場公世1等陸佐(同右)=6日午前、広島県呉市

離島とくに南西諸島の有事を想定し、迅速に部隊、車両、物資を運ぶ自衛隊海上輸送群が発足した。陸海空3自衛隊による共同輸送作戦は、先の統合作戦司令部が発足したのに伴う大きな試金石だ。

新たな輸送艦も配備される。陸自隊員が大半を占め、当面は海自隊員が艦長を務めるという。南西諸島間の輸送任務に当たり、砂浜に直接乗り付けることもできる。まさに迅速な展開が可能となる。

現代の戦闘様相は、長射程のミサイルや無人機などの登場もあり、前線も後方もないグレーゾーンと化している。とはいえ、敵の侵攻を抑止していく上で兵員、物資の補給支援の重要性は変わらない。

周囲を海で囲まれたわが国は、海岸線が長い特性が弱点にもなる。先の大戦では長い補給線を断たれ、米軍の周辺離島を拠点とした空爆の猛攻で敗戦につながった。専守防衛といっても、いかに前線が孤立せずに防衛できるかが大きなカギとなる。

今回の陸海空共同の海上輸送部隊はその意味で本土と一体となった防衛ラインの構築となる。いわばこれまで「点」として存在した部隊が「線」で繋がり、さらにはプレゼンスが強化されて「面」としての機能拡大が期待される。

ウクライナ戦争の教訓、そしてトランプ米政権の欧州や日本への防衛予算の大幅拡大の要求……。いかに軍事衝突を避け、有事を抑止するか。日米同盟はあるが、「自国の防衛は自国で」という本来の原則に基づき布石を打つ努力は不可欠だ。

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