
沖縄本島北部の名護市で、現在深刻なアパート不足が発生している。市内の賃貸住宅の家賃も軒並み上昇しており、さまざまな問題が発生している。地元紙によると、同市内に位置する名桜大学の新入生30人が、新年度までに1人暮らし物件への入居が間に合わず、当面の間、学内の施設での生活を余儀なくされるという。
一連の問題の根底にあるとされているのが、今年7月に今帰仁村にオープンするテーマパーク「ジャングリア」だ。同パークは開業までに1500人の従業員を雇用する計画を打ち出しているものの、社宅の準備は300室であることから、現地の賃貸住宅の需要が急増した。さらに、それらの人々の多くはパークのある今帰仁村ではなく、比較的利便性に優れた名護市に集中して物件を求めたことも要因の一つとみられている。
パークの運営会社副社長は、地元紙などの取材に対し、「われわれが変化の起点として住民が増えていくというプロセスだと思う」としつつ、「短期的にご迷惑をかける学生さんもいらっしゃると思う」との見解を示している。
こうした事例は、地方に大規模施設が進出する際にしばしば起こっている。北海道の倶知安町が、外国人観光客の増加とリゾート開発により局所的な物価上昇や、住宅不足に陥ったニュースは記憶に新しい。
テーマパークやリゾートの開業は、新たな雇用の創出や、経済活性化などの大きなメリットをもたらすが、一方で地域の生活コストの上昇や地元住民の生活インフラが圧迫されるなどのデメリットも同時に発生することが今回の件で改めて浮き彫りとなった。
まず今は、学生らが一日でも早く新居を手に入れ、普通の大学生活を送ることができるようになることを祈りたい。
(K)