
ミャンマーを襲ったマグニチュード7・7の地震は、フィリピンの防災対策の課題を浮き彫りにした。
ミャンマーでは死者が3000人を超え、多くの建物が倒壊するなど甚大な被害を受けた。また、この地震により4人のフィリピン人が行方不明となっており、決して人ごとではない。
フィリピン政府が迅速にミャンマーへの人道支援を表明する一方、フィリピン火山地震研究所は改めて「ビッグワン」の脅威を警告した。
ビッグワンとは、マニラ首都圏を横断するウエストバレー断層で発生が予測される大地震のことで、発生すれば死者5万人超、負傷者10万人、住宅の12%が深刻な被害を受けると試算されている。
しかし、国家防災庁(OCD)は、現在のフィリピンの地震対策が依然として不十分と指摘。耐震基準を満たさない建築物が多く、地震訓練を徹底しても、建物が崩壊すれば意味がないと警鐘を鳴らした。これを受け、政府は地方自治体に対し、建築検査の強化と許可発行の厳格化を指示した。
これは正しい方向ではあるが、問題はその実施がどれほど徹底されるかだ。過去の災害でも見られたように、法の施行が不徹底では対策の効果は限定的なのだ。
フィリピンは日本と同じく地震多発国であり、災害に対する備えを常に強化する必要がある。ミャンマーの悲劇を教訓に、実効性のある対策を講じることが急務だ。(F)