
陸海空の3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が発足した。これまでバラバラとは言わないが、3自衛隊それぞれが単独で防衛に当たらざるを得なかっただけに、統合で作戦を行える体制になったことは大きな前進だ。
南雲憲一郎司令官以下240人体制で臨む。制服組トップの統合幕僚長は平時から首相や防衛相の補佐、統合作戦司令官は現場の統合作戦指揮にそれぞれ専念する。役割分担が明確になったと言える。
統合作戦司令部の創設は長年の課題だった。サイバー攻撃や領空・領海周辺の挑発的活動に加え、武力攻撃に至らないグレーゾーンの事態が多様化した。さらに、大規模災害等での対応もその必要性を後押しした。
だが、課題は当然ある。陸海空の3軍種は“文化”が違う。それぞれ積み上げた伝統と機能を統合軍種としてどう調和機能させていくかが「司令部」の腕の見せ所だ。カウンターパートは米インド太平洋軍であり、より実戦的な日米の統合作戦・運用が求められる。
軍としての「器(うつわ)」は整ってきたが、一方で政治の責任と見識は重くなってこよう。戦略論の大家クラウゼヴィッツはその大著『戦争論』でこう述べる。「戦争は政治の一部である。戦闘に負けるのは指揮官の問題だが、戦争に負けるのは政治の問題となる」。
平時と有事の境目が曖昧となった現代の安全保障。シビリアンコントロールの最たる政治が大局的な判断ができるかどうか。「仏造って魂入れず」であってはならない。






