
約2900㌶を焼失した岩手県大船渡市の山林火災が収まったかと思うや、今度は愛媛県今治市や岡山県で大規模な山火事が発生している。日本より空気が乾燥している韓国でも、大変な山火事被害に見舞われている。
21日から全国で山火事が10件発生し、27人が死亡、被害は3万6000㌶に及び今も延焼が続いている。2000年の東海岸の火事を上回る「史上最悪の山火事」(韓悳洙(ハン・ドクス)首相)という。
文化財にも甚大な被害が及んでいる。慶尚北道義城(ウィソン)郡では新羅時代681年建立の孤雲寺が、国宝指定の建築物も含め全焼した。この火は安東(アンドン)市にも広がり、世界文化遺産に登録されている河回村(ハフェマウル)にも迫った。
李氏朝鮮の儒教中心政策の影響もあり、韓国の古い寺院のほとんどは山の中にある。「八萬大蔵経」を収める世界文化遺産の伽耶山(カヤサン)海印寺や同じく世界遺産の慶州の仏国寺(プルグクサ)や石窟庵(ソックラム)などがその代表だ。山中にあることで清浄さと独特の美しさを生み出しているが、山火事にはほとんど無防備だ。
200平方㌔を焼失した米ロサンゼルス近郊の山火事を検証した国際研究チームは、人為的な気候変動によって山林火災の発生の危険は35%増し、気候変動対策が講じられない場合、今世紀末にはさらに35%増すと推測している。
孤雲寺の石造の仏像など宝物は僧侶と信徒の手によって運び出すことができたが、美しい堂宇は焼けてしまった。山火事対策は文化財保護のためにも緊急の課題だ。