トップコラム超宗教のイフタール イスラエルから

超宗教のイフタール イスラエルから

イスラエルの人口は現在約990万人で大半はユダヤ人だが、約2割がアラブ系だ。その約8割はイスラム教徒が占める。3月に入りイスラム教のラマダン(断食月)が始まった。イスラム教徒は約1カ月間、日の出から日没まで、水も飲まずに断食する。

エルサレム市内を走るライトレールの車内で、隣に座ったヒジャブ(スカーフ)をかぶった婦人がアラビア語の小冊子を開いていた。「コーランですか」と尋ねると、「そうです。あなたはイスラム教徒ですか」と返ってきた。「日本の神道です。ラマダンおめでとう」と言って、笑顔で別れた。

イスラム暦は、太陽ではなく月の動きに合わせて作られた暦で、1年が354日となり、毎年ラマダンの時期がずれていく。日が長く乾燥する極暑の夏のラマダンには、熱中症や脱水症状で救急搬送される人が多く出る。断食するから痩せるのかと思えば、日没後の食事(イフタール)で毎日ごちそうを食べるため、逆に太るという。食費も普段より多くかかるそうだ。

先日、ユダヤ人の友人から誘いがあり、アブラハムの宗教者が集いイフタールをするという超宗教的な活動に参加した。イスラム教指導者の主催で北部ナザレに設けられた会場では、イスラム教、ドルーズ派、キリスト教、ユダヤ教神秘主義派、サマリア人の代表がそれぞれ平和のためのスピーチを行った。そして、イスラム教の祈りの後、参加者約150人と一緒に食事をいただいた。この活動は20年続いているという。(M)

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