トップコラム自信の影に稽古あり【上昇気流】

自信の影に稽古あり【上昇気流】

大相撲春場所、大の里が3度目の賜杯

「荒れる春場所」も最後は、大の里が通算3度目、大関としては初の優勝を果たした。新横綱豊昇龍が10日目から休場。東大関の大の里は出場力士の最高番付だから、順当な結果とも言える。

横綱休場のマイナスを補って余りあったのが、大の里と優勝決定戦を戦った高安の奮闘だ。NHK相撲解説者の元大関琴風、中山浩一さんは、何度か優勝のチャンスがありながら、一度も賜杯を手にしていない高安に頑張ってほしいと語っていた。

その言葉が刺激になったのか、順調に星を伸ばし13日目には単独首位に立った。35歳のベテランだが、激しい突っ張りで後に引かず、しばしば熟練のうまさを見せてくれる高安に、気流子も期待した。今場所は高安優勝でいいんじゃないか。ロマンチックな結末を待ち望む気持ちもあった。

一方、大関昇進以後の2場所の成績は振るわず、優勝争いにも絡めなかった大の里。しかし、今場所は闘志と自信に満ちていた。場所前の稽古、準備の手応えがそれを裏付けた。中にはヒヤリとする相撲もあったが、自信に裏打ちされた落ち着きが体をうまく反応させた。

今場所の取り口としては、膝を曲げながら腰を低くして前に出て圧倒する相撲が多かった。192センチ、183キロの恵まれた体で、重心を低くして当たってこられては、相手はたまらないだろう。

来場所はいよいよ綱とり場所。実力派力士がひしめく中で上の地位に就くには、さらに心と技を磨く必要があるだろう。

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