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【東風西風】フィルムカメラ人気再燃

フィルムカメラ

フィルムカメラの人気が再び高まっているようだ。ユーチューブでは、若者たちが中古マニュアルフォーカス一眼レフカメラを買って、フィルムの装填(そうてん)の仕方から始まり、露出の合わせ方や撮影方法、実際に撮影した写真を紹介する動画があふれている。

デジタルネイティブ世代の若者たちは、生まれたときからスマホやデジカメが当たり前の世の中で育ち、フィルムカメラというものを経験したことがない。デジタルは何枚でも気軽に撮影でき、削除や編集加工が容易で「写真を撮る」行為へのハードルが低い。

一方、フィルムカメラはフィルム1本(通常36枚撮り)という制限の中で、一枚一枚を大切に撮影する姿勢が求められる。ファインダーの中で四隅をしっかり見て構図を決め、ピントを合わせ、適正露出を確認し、ブレないようにシャッターを切る。一発勝負、「一枚入魂」の世界である。

そして現像するまで結果が分からない。この「待つ」というプロセスがいいのである。デジタル社会における即時性とは対極にあるこの経験には、心地よい緊張感がある。またフィルム写真は、デジタル写真にはない独特の色合いや質感があり、ノスタルジックな雰囲気もその魅力の一つとなっているようだ。

デジタル社会に生きる若者たちが、フィルムカメラを通じてアナログの良さや手間をかけることの価値を再認識し、人類が育んできた写真文化と日本が誇るカメラ技術に触れる良い機会になればいいと思う。

(風)

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