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北陸新幹線が石川県金沢市から福井県敦賀市まで延伸開業して1年が過ぎた。開業からの11カ月間で福井県では県外からの来訪者が前年同期比約20%増えたが、2024年の宿泊者数は354万人で前年比9%増にすぎず、コロナ禍前の水準に及んでいない。
これに対し、石川県は前年比36%増で都道府県別で最大だった。能登半島地震で営業がほとんど停止している七尾市の和倉温泉が再開すればさらに増えるだろう。福井は恐竜県のイメージができたが、それを宿泊や消費にどう結び付けるかが課題だ。
延伸開業2年目に入った北陸新幹線の最大の懸案は、敦賀から京都・大阪に至るルートが定まっていないことだ。16年に政府・与党は福井県小浜市や京都府を通るルートを決定したが、京都府はトンネル掘削による残土の搬出や地下水への影響を不安視する声を背景に慎重姿勢を崩していない。
そんな中、いったんは候補から外された滋賀県米原市で東海道新幹線に接続するルートが再浮上。石川県ではこの米原ルートを推す声が高まっていると、地元紙・北國(ほっこく)新聞は伝えている。
敦賀から京都、あるいは米原が新幹線で繋(つな)がる意味は大きい。南海トラフ地震など災害時の代替ルート、東京-名古屋-京都-大阪のゴールデンルート以外のインバウンド観光の目玉ルートとしても重要だ。
国内交通のグランドデザインの観点から再度検討し、早く正式ルートを決定して着工への動きを加速すべきである。