
お宅の新聞は原発支持派ですか、それとも反原発派ですか。14年前にはそんな質問を随分、お受けした。東京電力福島第1原発事故を受け「反原発でなければ新聞にあらず」との風潮が広がり、原発支持を口にしようものなら、まるで共犯者扱いだった。
当時の新聞はどうだったか。マスコミ倫理懇談会全国協議会の調査では、全国46紙のうち「脱(反)原発」は朝日、毎日、東京(中日)など28紙、依存度を減らす「減原発」は日経、中国、福島民友など14紙、「原発維持」は読売と産経の2紙、「態度保留」は福島民報と福井の2紙だった(2012年調査)。
反原発派が6割を占める中、福島2紙は違った。同協議会の全国大会が12年9月に沖縄で開催された折、琉球新報と沖縄タイムスが福島2紙に反米軍基地・反原発の共闘を申し入れたが、2紙は断った。原発と共生してきた福島県民の見識というべきか。
新聞はともかく国民世論は大きく変化した。地方紙25社が21年から行っている合同アンケートで原発の活用を望む声が増加しているという(福島民友2月28日付)。
21年には「即廃炉・積極的廃炉」の廃止派が6割を超えたが、今年は35%とほぼ半減。活用派は58%に達し、その半数以上が「運転延長」を望み、「増設」も全体の1割を超えた。
厳しい内外情勢を見据えた故の変化だろう。それでも新聞が反原発であれば、なるほどオールドメディアと呼ばれる所以(ゆえん)だと合点がいく。